オグリキャップのジャパンカップ 1989.11.26

 


 

今週は、秋のG1シーズンの目玉、ジャパンカップが開催されますね。

競馬の世界に入った時から、このレースだけは傑出して華やかでステータスも感じるレースという印象でした。そのジャパンカップで、何より強烈に記憶に刻まれているのが、(ベタですが)ホーリックスとオグリキャップ、東京競馬場直線の壮絶な戦いです。

 

記憶と共にちょっと追想したいと思います。

 

 イブンベイとホークスターが競りながらハイペースなラップを刻み、タフな印象のオセアニア馬ホーリックスが3番手と、先頭集団を構築しながらレースが進みました。

 ホークスターの勝負服が(アメリカ)国旗の様な鮮やかさで、馬のそれまでのバックグラウンドからも(当時の世界レコード保持)、人気を集めていた記憶があります。

 日本の雄オグリキャップは前週にマイルチャンピオンシップでバンブーメモリー(武豊騎手騎乗)を直線ギリギリの所で交わした結果を、競馬ファン達は「そろそろ疲れが出て来た」と口を揃えて居ました。この怪物でも、世界の一流馬(当時は、相当な実力馬が集まっていた)を前にしては、地味に成らざるを得ない感があり、しかも疲れが出て来ているのではとの危惧はあり、最終的に2番人気に落ち着いて居ました。

 

オグリキャップは、ハイペースの中ステーヤー色の強かった一番人気のスーパークリークと果敢に4、5番手を形成していました。ホーリックスが、内からするっと直線早めに先頭に立つと、その後から欅を過ぎた辺りで仕掛けに入っていた南井騎手(現調教師)騎乗のオグリキャップが、僚友スーパークリークをふるい落し、いつもの射程圏に。

 

「あれ、交わせない。」

 簡単に交わせる筈のオセアニア馬を、じりじり追いつめるが交わせない。

 

「オグリキャップが不発?!」

 そう思った瞬間、他の世界一流馬達が、直線沈んで行く中、オグリキャップが少しずつだが差を詰め始めました。

 

「オグリは、頑張っている。」

 この瞬間に、観戦している人間達は、一斉にコールを送り出したんです。

 

「オグリ頑張れー!!」、「届けーー!」、「オグリー行けー!」、と。

 彼はその強靭なバネで、あの負けん気の顔で、更に歯をむき出しながら、固い東京競馬場の飴色に変化した秋深い芝の上を、まっすぐ突き進んでいます。

 

競馬を観ていて、あんな気持ちを持ったのはあの時しかありません。たった一頭の見栄えのしない葦毛馬に、日本中の競馬ファンが自分の馬券関係なく、オグリキャップに魂を預けたんです。もちろん、他の競馬関係者までもがそうだったと思います。

 

「出来る、お前なら!絶対!」

 今まで何度も自分達が乗り越えられなかった試練を思い出し、そして「奇跡の到来」を彼に託したんです。

 

今でもジャパンカップが訪れる度に、彼を思い出します。彼はいつもまっすぐ突き進んだ、私達世代の大いなる記憶で、スーパースターだったと思っています。

 競馬は、本当に素晴らしいですね。

 

 

画像は、プロカメラマンの岡田修平氏にお借りしました。この頃からご活躍と言う事で、当方の馬乗りがまだ馬にぶら下がっている様な状態の頃に、すでに一線にてご活躍と言う事で、驚きとともに感心してしまいました。画像を見せて頂いたとき、懐かしくて懐かしくて。力強さの在る古き物は、素晴らしいですね。

The 岡田修平(岡田修平氏ブログ)
http://ridingbasic.com/okadashuhei_blog/

 

 

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